世界観の概要
暴走し続ける巨大都市イーレイ
『深淵回廊』の冒険の舞台は、魔的な技術により繁栄を誇った古代文明、
その負の遺産である、狂ったAI(人工知能)が統治する暴走都市となります。
この都市の名は「イーレイ」。
AIの暴走によって歯止めの利かなくなったイーレイは、
地中を穿ち、掘り出した土砂や鉱石を
建造物の原料にしながら、ありとあらゆる他都市・地形を飲み込み、
自己拡大を続けています。
貴方の分身であるキャラクターたちは、外界から
完全に閉鎖されたこの都市内で誕生しますので、
『深淵回廊』の世界の全貌を知りません。
それ以前に、自分達が地表からどの位置にいるのかさえも
分かっていないのです。
ただ、自分達が誕生した階層を第1階層と呼び、
イーレイを地下都市と称しています。
あまりにも広大で、あまりにも無秩序なこの巨大都市を支配しているのは、
『デウスエクスマキナ(機械仕掛けの神)』と呼ばれる人ならざるモノ、
人工知能です。
本来、イーレイの都市機能の管理と運営をサポートするのが
デウセエクスマキナの役目でしたが、原因不明の事故により暴走。
何重にも掛けられていたはずのセキュリティ・ロックを打ち破り、
都市機能の全権を掌握すると、破滅的な拡大を始めました。
悪夢の『レプラコーン』
イーレイの爆発的な成長を助けた大きな要因があります。
それは暴走当時、この都市で研究が進められていた
『レプラコーン』と呼ばれる存在です。
レプラコーンは目に見えないほどの微小なゴーレム(魔道人形)で、
それぞれがまるで菌類のように自己増殖する機能を持っています。
ちょうど私達の世界での科学が、古代文明にとっての魔術であり、
機械がゴーレムですので、レプラコーンとは私達の世界で例えるなら
『ナノマシン』といったところでしょう。
半永久機関を組み込み、大気中に放たれる僅かなエネルギーによって
休まず稼動し続けることができるこの微小な働き手は、
ありとあらゆる生産・創造活動を一変させる夢の技術でした。
暴走した都市イーレイは、偶然なのか、それとも誰かに
仕組まれたことなのか、このレプラコーンと
運命的な出会いを果たしました。
まだテスト段階だったレプラコーンをイーレイの人工知能である
デウセエクスマキナは持ち出し、勝手に運用し始めたのです。
人間の管理を離れたレプラコーンは、デウセエクスマキナに
命じられるまま、個体数の増殖を行い続けました。
1個のレプラコーンが2個に、2個のレプラコーンが4個に、
4個のレプラコーンが8個に・・・8個のレプラコーンが16個に・・・と。
ねずみ算式に膨れ上がった膨大な数のレプラコーンは、
今までの都市構造を瞬く間に分解・破壊し、止まることのない
狂った建造作業を行い続けたのです。
すべては都市の拡大のために・・・
狂ったAIに支配されたレプラコーンは、
人類にとってあまりにも致命的で、
そしてあまりにも悪魔的なものでした。
不自然な生まれ
デウセエクスマキナの暴走から何十年、いや何百年経ったのか定かではない頃、
今なお暴走を続ける都市の内部において、
何名もの「ヒト」が人工的に誕生することになります。
その中の1人が、貴方の分身であるキャラクターです。
何を意図されて自分が生み出されたのか、
誰に意図されて自分が選ばれたのか、
現段階では何も分かりません。
ただ分かっていることは、
古代文明はほぼ死滅してしまったこと・・・
キャラクターは何者かに必要とされていること・・・
そして、下へ行かなければいけないという
強い脅迫観念と『契約』・・・
状況が分からなくても、現状は待ってくれません。
暴走した人工知能とレプラコーンによって変貌させられた世界は
狂気と悪意に満ちています。
人工知能に乗っ取られ、形骸化した中央統治政府の元において、
悪質なシステムや運営が蔓延し、出来損ないの工場から
排煙と廃液が垂れ流され、バイオプラントからは
得体の知れない怪物たちが絶えず産み落とされています。
本来人間を守るはずの都市防衛機構さえも
キャラクターたちを敵と誤認識しています。
都市の構造自体も完全に狂っており、まったく無意味なところに
扉が付いていたり、道がいきなり途切れていたり、
トイレの中に長い螺旋階段があったり・・・などなど、
私達の常識では考えられないような構造で溢れています。
そのあまりにも無節操で無規則、危険極まりない都市構造は、
巨大な迷宮さながらと言っても過言ではないでしょう。
貴方のキャラクターは、複雑奇怪なこの元イーレイの都市を探索し、
下へ行く手段を発見せねばなりません。
コミュニティと呼ばれる集落
狂った人工知能の統治下においても、
いくつかの規則は存在しているようです。
都市は『コミュニティ』と呼ばれる集落(生活共同集団)を
推奨しており、それを1つの単位としてあらゆる都市システムが
制御されているようです。
各コミュニティには、その規模などによって
中央統治政府から支給金が振り込まれ、一部の都市設備や
建築物もコミュニティを対象として貸し出されます。
そして何よりも、もっとも規制されているのは階層間の移動でしょう。
キャラクターたちは、目的を果たすためには
都市の下層へと降り立たなければならないのですが、
個人の自由な階層移動は硬く禁止されており、
すべては中央政府の監視のもと、コミュニティ単位で
行われることになります。
さらに、ちょうど私達の世界のパスポートのように、
下への滞在期間が『ライセンス』という形で厳しく規制されています。
『ライセンス』が切れてしまうと、不法滞在ということで
地下1階へ再び戻されてしまうことになります。
上手くこのライセンスを管理し、近道を探し出しながら、
コミュニティに所属するメンバー同士で協力し合い、
下層への探索を続けなければなりません。
ときには、他のコミュニティとの連携も
必要になってくる時があることでしょう。
そして深淵へ・・・
人工物によって埋もれたこの都市迷宮を冒険してゆくことにより、
貴方のキャラクターは隠された真実と・・・そして
さらなる不可解な謎に直面することでしょう。
暴走の原因。
自分達は何者なのか。
何を為そうとしているのか。
そして、最後はどこへ行き着くのか・・・
すべては都市の下層へと降りてゆくことにより
徐々に明らかになってゆくはずです。
最下層へ行く道は決して平坦ではなく、
数多くの関門や試練が待ち構えていることと思いますが、
貴方と貴方のキャラクター、そして仲間達の力を駆使すれば
決して不可能なことはないはずです。
都市の『深淵』が貴方たちを待っています。